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第6章 借地権と底地

■第1節 |

借地関係とその問題

1. 借地権の存在

(1) 借地権の形成

借地権とは, 建物所有を目的とする土地の賃借権または地上権のことであ

3.

土地を借りて家を建てるという借地関係は,東京方面では江戸の頃から習 慣としてあった。むろん土地の貸借に関しての権利金の授与などはなく,今
風に言うならば「土地の有効利用」といった, ごく自然な形でスタートした ものらしい。

その後人口の都市部集中等により地価は高騰したが, それに見合う地代の 値上げが困難だったため,地主側はいわゆる「地震売買」等により,借地人
に対して種々の攻勢をかけるようになった。そこで,経済力の弱い借地人を 守るための社会政策的立法が次々となされた。具体的には,明治42年の建物
保護法,以下, 借地借家法, 地代家賃統制令等である。

戦後に入ってからはむしろ,「弱い借地人を立場の強い地主の横暴から守 る」といういきすぎた固定観念から,民法や借地法等の運用や改正がなされ
ていくようになっていった。地代は理不尽なまでに安く据え置かれる一方。

借地期間も事実上無制限に更新できてしまうような状況になり,借地人の地 位は不自然とも思えるほど強固なものになっていった(いわゆる「賃借権の
物権化」)。その結果,大都市圏を中心に,この借地権自体の価値が,土地の 価値に対して50%, 60%, 70%といった割合(借地権割合)で示される程の
大変な水準となっていったのである。

なお, 関西方面では以前から東京流の借地の風習はなかったが, この東京 の慣行が,民法やその後の借地関係の立法の基準とされたため,あたかも

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「東京弁」が日本の標準語になったかのごとく, 東京流の借地慣行が徐々に

地方へ伝わっていった。さらに大戦後に,地主が財産税制度などによって資 力を失うことになった結果、戦後急速に借地慣行が各地に拡散し,今では全
国的に借地関係が存在するようになったとのことである。

現状の借地借家関係を冷静に見てみれば, 明らかに公平を欠いた,借地人 等に不当に有利な形での法制や運用がなされていると言わざるをえない。一
般社会では,「貸してしまった土地や建物は盗られてしまったと思え」といっ た考え方が根強い。したがって,こうした矛盾を改善すべく,かなり前から

借地借家法の改正が検討されてきた。

(2) 新借地法

平成3年9月に新「借地借家法」が成立し,翌年8月から施行された。 新借地法は、 借地人等の偏重を改め,土地の有効利用を促すという目的で
作られた。しかし前段の目的は借地人側の強い反発にあい, 骨抜きにされて しまった。何より新法施行以前に発生していた借地借家関係には, この新法
の適用は及ばず, 旧法の適用となるのだ(更新後も旧法)。また,新法の適 用を受ける普通借地権も,存続期間の変更等若干の改訂はあったが,本質的
には旧法のものと大差ないと言わざるをえない。

もっとも, 新借地法は定期借地権という新方式の借地権を定め,土地の有 効利用促進に資することとした。定期借地権は, 一般定期借地権。 事業用定
期借地権 建物買取型定期借地権の3種類ある。

このうち事業用定期借地権は,借地期間を10年以上20年以下とし、建物用 途を事業用に限定しており,郊外レストラン等をイメージしたものだ。従来
は土地を賃借した形で事業者が建築する事業用の建物を各地に展開するといっ た方式が借地法の存在で地主の協力が得られなかった(借地権が発生し,土

地を取られてしまう)。この点、借地関係を消滅させる定期借地権によって、 この問題の解消を図ったわけだ。ただし平成20年から最長期間を50年まで延

長し,用途の多様性を図った。なお短期型に限って、公正証書による契約を 要件としている。
一般定期借地権は,存続期間を50年以上とするものの,書面による更新排

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第6章 借地権と底地

図表2.承諾料の目安(首都圏の場合)

・ 更 新 料 ・増改築承諾料 ・用途変更承諾料 ・名義変更承諾料

更地価格の4~5% 更地価格の2~5% 更地価格の10% 売買代金の10%

除の特約により,借地関係を終了させてしまうという定期借地権である。こ れは土地取得代金を低廉な権利金に変えることにより,良好な住宅を無理の
ない価格水準で供給することを念頭においている。地価高騰により大 都市圏では,一般サラリーマンには,戸建てのマイホームの取得は困難となっ
て久しい。こうした中, 自分の人生をエンジョイしたい層には, 3,000万円 台の資金で立派な戸建て住宅が手に入るのは,大きな魅力であろう。筆者は
この制度は悪くないと思う。ただし実際は当初期待されていた程は利用され

ていない。やはり権利の複雑さが問題とされたのであろうか。

以上で,新借地法の説明は終わることとし,以下はすべて従来型の借地関 係の説明をする。くり返すが、平成4年8月以前に契約された借地関係は
正式に契約が解除されるまで(契約が更新しても同様), 旧法が適用される のだ(要するに,実務上は新法は滅多にお目にかからないのである)。

2.借地関係の問題点

(1) 借地人側

現状の借地関係には,具体的にどのような問題があるのだろうか。これを 図表1の事例に基づき, 借地人・地主の各当事者ごとにそのポイントを簡単
に説明する。まず借地人側。

借地人は,(今となっては)比較的広い土地に,しかも極めて安い地代で ゆったり住んでいる場合が少なくない。やりようによっては事実上無期限で

借り続けることも可能だ。

しかし,所詮は地主からの借りものの土地だから,その地位は不安定で、

借地期間の延長(更新)には神経を使うし,法的に義務はないというものの 大半の場合は多額な更新料の支払いを要する。(払っていた方が無難)

長年住み続ければ建物は古くなり,改築や増築の問題が発生する。増改築 は地主に無断で行うわけにはいかない。許可を得るためには,やっかいな交
渉と多額の承諾料が必要となる(堅固な建物への建替えには,別途条件変更 の承諾も必要)。
「この借地権を売却しようとすれば,不安定なるが故に売りづらかったり,

地主への承諾料の支払いがあったり,結局手取額はかなり目減りしてしまう。 さらに近年は借地権の人気が低下傾向にある。

さらに, 借地権は借金の担保になりにくい, という欠点もある。 上記の各種の承諾料や更新料の目安(あくまでも目安にすぎない)は図表
2のとおりだ。図表のとおり,更新料等の額は地価に連動して算出されるた め,これら一時金の額は近年の地価高騰に比例してハネ上がってしまった。
事例の場合, 以前なら100~200万円で済んだものが今では500万円見当と, 容易な額ではなくなっている(近年の地価下落で、改善されつつはあるが)。

借地人は以上の諸問題を抱えており,その地位は決して安泰ではない。 (2) 地主側 一方, 地主側からこの土地(底地)を考えると,これは欠点ばかりといっ
てもよい。 「まず貸している土地の価値(更地価格1億2,000万円)からみて, 地代が
まるでタダ同然に安い(年30万円,土地価格比年なんと年0.25%強。さらに この30万円からこの土地の固定資産税・都市計画税約10万円が課され,手取

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図表, 借地関係事例

実勢価格 坪150万円 路 線 価 坪120万円 借地権割合 60% 年間 地代 30万円

地面80坪

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第6章 借地権と底地

「第2節 ■

「乖離」の存在と解消策

1.借地権・底地権の評価

りは20万円という無いに等しい額となる)。

次に,この土地を返してもらおうと思っても,「正当事由がどうの…」と いった理屈で, 期間満了になっても返してもらえない。
「このような土地は持っていても仕方がないので売ってしまおうと思っても,

まず買手はいない。

もっとも,長年のうちには承諾料等の収受も期待できるし,後述のとおり

借地人との交渉次第では,借地関係の解消により底地の有する潜在価値を取 り戻す可能性もある,といった将来的な楽しみはある。

しかし,底地の最大のデメリットは,相続税の評価が,その有する交換価 値に比べてはるかに高いものとされている点であろう。

この問題は,路線価評価割合のアップ(昔は路線価水準は時価比30%~ 40%と安かったが,最近は80%前後と高水準となっている)を受け, 底地の

換金性の欠如による納税資金確保という難題を含め,深刻の度を増している。 地主にとっても底地は極めて頭の痛い存在なのだ。

(1) 借地権の実勢価格

第1節の事例を題材にして, 借地権の評価(実勢価格)を考えてみよう。 一般に借地権の評価というと、

更地価格×借地権割合 (1億2,000万円×60%=7,200万円,以下「建前価格」という) と考えられている。果たしてそれでよいか。

現実の借地権価格は, 一応「建前価格」である7,200万円をベースに考え られるが、 借地権の売却となると,実情は下記3点により「建前価格」から
かなりの目減りした金額となってしまう。 ・借地権の不安定さが嫌気され,一般にかなり値が下がる傾向がある。この 「傾向は近年顕著になりつつある。
・売主である借地権者は,売却価格の約10%の譲渡承諾料を地主に支払わね

ばならない。 ・地主に「先買い権」を行使され,一層安値で買われてしまう不安もある。

これらを考えると,借地権価格は「建前価格」から20%程度は減額した金 額とならざるをえない。 (2) 底地の実勢価格

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底地も,一般に,

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更地価格×底地割合(1億2,000万円×40%=4,800万円,以下「建前価格」という) がその評価額であるといわれている。 しかし底地は,
一時金の期待や借地関係解消の可能性といった将来的な楽 しみはあるものの,地代はタダ同然で、返却を受けることもできず,相続税

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第6章 借地権と底地

の取扱いは極めて不利, という「問題児」であった。

この底地を売りに出しても,こんな状況の底地を買う一般の人はいない。

強いて買手を探すならば,いわゆる「底地買い」の事業者が, 更地価格の 10%程度の値で買いに来る。彼らは,その後底地を借地権者に売ったり,借
地権を取得して更地として売却する予定なのだ。借地権者との交渉失敗のリ スクがあるため,その程度の買値でないと算盤が合わないのである。

この「建前価格」の%, 以下といった「捨値」とも言うべき価格にもか かわらず、借地人との交渉に嫌気した相当数の地主等が,損を承知で底地を
これらの事業者に叩き売っている。この事実は,底地の実勢がいかに「建前

価格」と乖離しているかを如実に示している。

底地の換金を考えた場合は,後述の借地権者への売却, または借地権者と の連携による売却による方法が最も有利となる。これらの手法なら,売却価

格は理論上「建前価格」と等しくなるはずだからだ。ただし,これは,借地 人との交渉がうまくまとまったならば,という仮定の話である。

底地の評価に当っては,相続税における物納(大原則である金銭納付の例 外として,土地等の物で納付すること。底地の物納も認められている)の場 合の,
国の収納価格を考えねばならない。むろん, 物納の本質は,国への底 地の売却に他ならないからだ。

収納価格は, ズバリ相続税評価額である。要するに国が相続税評価額で底 地を買い取ってくれるわけだ。従来は路線価の時価評価割合が低かったため,
一般に物納は損、と言われていた。しかしこの評価割合の急上昇は, このデ メリットを一気に消滅させた。おまけに,物納(国への売却)における譲渡

所得税は非課税なのだ。

第3章第5節で説明したように, 一般の土地でさえ物納有利というケース が多く,現在は一時に比べかなり減少したが, それでもまだ高水準を維持し

ている。底地の物納は地主にとって極めて有利だ。

ただし,物納申請してもすべて収納されるわけではない。土地条件, 境界 地代水準等, 収納までには多くの問題をクリヤーしなければならない。何よ
り,近年「納税資金がある場合の物納は不可」とする具体的な要件を著しく

厳しいものとしたため従来の発想は通用しないのである。現実には極めて多 くの底地が,物納を断念させられているようだ。

以上の結果、底地の評価は, その底地の与えられた状況(借地人との交渉 成立や物納の可能性)により大きく左右されてしまう。底地は将来的に楽し
みも多いが,その可能性や換金の時期は所有者の自由にならない。この将来 を見通せない点が、底地の価値を低下させている大きな原因である(その点、
借地権の方がまだ換金性は高い)。

以上を踏まえた上で, 底地一般の実勢価格を, 底地の有する個別事情を一 切無視して強引に評価してみよう。清水の舞台から飛び降りるつもりで, 底
地価格に対し「建前価格」の半値程度でどんなものであろうか。 (3)「乖離」の存在

借地権と底地の「建前価格」と実勢価格の関係を表すと図表3のようにな bo

後述のように,当事者双方の話合いにより借地関係が解消すれば,実勢価 格が「建前価格」と等しくなる。現実にはこの両者の間には, 図表3のよう
に更地価格の30%前後の乖離が生じているのだ。

借地関係の当事者を含め、世の中のほとんどの人は,借地権・底地の評価 に当っては, この「建前価格」を考えている(相続税評価も同様だ)。

しかし,後述のようにこの借地関係を具体的に改善しようとする場合には

図表3.「建前価格」と実勢価格

(下段の%は仮の数字)

更地価格(100%)

60% 借地権「建前価格」へ

40% 底地「建前価格」、

乖離(30%)

底地実勢価格(20%)

借地権実勢価格(50%)

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第6章 借地権と底地

図表4.「事例」の場合の交換図

「建前価格」をあくまで「建前」とし、「本音」ベースでの対応, すなわち上

記乖離の存在を充分認識した上での折衝を行わなければならない。

交換前借地権部分(60%)

2.借地関係の解消策とその問題点

交換前底地権部分(40%)

交換後地主 交換後借地人 の所有地との所有地とな Ta B6BA る部分(48坪) (32坪)

黒色部分同士の交換(交換価格は80坪×150万円×60%×40%=2,880万円)となる。

(1) 具体的解消策

以下に, 従来の借地権割合60%の事例を前提に話を進めていく。しかし近 年の全般的な地価下落(土地の需給関係の緩和)の影響なのか, 借地権者の
地位が相対的に下がってきているように思われる。

したがって,実際には借地権割合が60%であっても, 借地関係の解消に際 しては五分五分の割合を前提にしているケースが少なからずみられるように
なっている。 「さて, 乖離は, 一つの土地に対して二人の権利者がいることに起因する。
ならば借地関係を解消して,権利者を一人にしてしまえば,この土地の価格 は「建前価格」に復帰するのである。

具体策は,下記の4つであり,これを事例に基づき説明する。

借地権者が底地を買い取る。 (買い値は1億2,000万円×40%=4,800万円) 2地主が借地権を買い取る。

(買い値は1億2,000万円×60%=7,200万円) 借地人と地主とが共同でこの土地を第三者に売却し, 代金を両者で6対 4で分ける。
の土地を6対4に分割して,それぞれの完全所有権とする(借地権の一部 「と底地権の一部の交換)。

ただし,上記1~4の手法はいくつもの問題点を内包している。 まず, 0, 2では買う側に多額な購入資金が調達できなければ、話はそれ
までだ。特に借地人側の資金調達は,困難な場合がほとんどであろう。

売却する側(~3)から見ても,「長年住み慣れたこの地を動くのはイ ヤ」とか、「ご先祖から受け継いだ土地を手放すのはどうも…」といった話
が出てしまえば,もう交渉は進まない。土地の売却には譲渡所得税の問題も

出てくる。

その点のの方法は,以上の問題は概ねクリアーされており(所得税の「交 換」の特例の適用), これをお勧めしたい(図表4参照)。
「しかし,それには土地をうまく希望の割合で分割できるかどうか, という 問題がある。奥行や間口が狭いこと等により地形の面で困難であったり,土
地が狭いため分割そのものが無理な場合である。全般的には,すんなり分割 できる土地の方がずっと少ないのが実情だ。

(2) 両当事者の交渉課題

借地関係解消の気運が両当事者間で盛り上がり,上記の諸問題も解決でき る客観情勢が整っているとしよう。

最大の大問題が残っている。利害が全面的に相反する両当事者間で交渉の 結果、最終的に具体的な合意(妥協点)に達することができるかどうかであ 5.

交渉課題はいくつもある。その第一は借地権割合だ。

今までは,借地権割合は路線価図に記載されている60%という数値を前提 に話を進めてきた。

しかし,この路線価図記載の借地権割合は,あくまで税法上の財産評価の ためだけのものに過ぎない。一般の不動産の評価や取引には,何の拘束力も
ない。この路線価図記載のもの以外には,借地権割合を示す有力な基準が一

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第6章 借地権と底地

般社会に存在しないため,,ほとんどの評価や取引が, この借地権割合を目 安に行われているに過ぎない。

したがって現実の取引においては, 路線価図の借地権割合を目途としつつ も,最終的な割合は,当事者の熾烈な交渉により随時決定されているのであ Bo

この他、上記1, 2の場合には,更地価格をいくらにみるか(事例では平 150万円)も利害が相反する内容であるだけにかなりやっかいな問題となる
(この点, 3ならばその心配はない)。

のについても,土地が角地である場合等、分割後の土地の単価に差が生じ るケースでは,双方の調整が必要となる。

さらに, 2,3の場合には,地主から借地人に対し譲渡承諾料相当額につ いての請求がなされることも考えられよう。

(3) 両当事者の力関係

これら当時者間の交渉は,結局, 両者の力関係がモノを言う。

まず、相手方に申し入れした(お願いに行った)方の側がどうしても弱く なってしまう。例えば、借地人側から「家も古くなってきたのでこの際…」 とか,
地主側から「相続税の納税資金用に換金したいので…」と先方へ頭を 下げるようなケースだ。

一方, 力のある大地主を中心に, いかなる場合にも折半(50%さらにはそ れ以上)の権利割合を主張し(場合によってはそれ以上), 「裁判も辞さず」
という強気の地主層も存在する。この場合には,零細の借地人はとても歯が 立つまい。 「逆に,
借地人借家人達がその地位を守るための強固な組織を作っている例 があり,地主層の強敵ともなっている。さらには, 一般的に気のいい地主や

借地人もいれば頑固な人もいる。

要するに,交渉がすんなりいくか難航するかは,相手しだいなのである。 なお,当事者の交渉が暗礁に乗り上げれば裁判に持込まれる。これには借
地関係専用の「借地非訟事件手続」という簡便なシステムができており,結 論は半年もあれば出るようだ(ただし,安くない弁護士費用がつきものとな

3). 「ただしここで出る結論が, その時々によってバラバラになってしまう傾向 があり,やりにくい。もう少し判事さんにしっかりやっていただきたいよう
に思う(借地・借家法の運用がこんなにイビツになってしまった一因も判事 さんにあると言ったら言い過ぎであろうか?)。イザという時の裁判が,「やっ
てみなければ分らない」という状況では,金と暇のある力の強い人でなけれ ば利用できないこととなり,好ましいことではあるまい。

いずれにしても,交渉の結果しだいで数百万円, 数千万円の差が生ずる可 能性があるだけに,当事者としてみれば大問題だ。借地関係の解消とその方
法は合意しても,この権利割合や諸条件等の交渉が不調に終り,せっかくの 話が破談になってしまう場合も少なくない。

なお,交渉は地主・借地人とも,本人が行うのがベター。あまり交渉技術 にとらわれず, 素朴に本音ベースで話し合いたいものだ。

一方が代理人を出せば,相手方も代理人を出すだろう。代理人は,依頼者 に対して良い結果を出そうとして,つい肩ヒジを張る可能性が高い。本人同

士で和やかにやるのが一番なのだ。 「仮に代理人に頼むとしても,最初から弁護士を使うのは考えものだ。理由
は,費用が高いこと,一般に弁護士は現場の不動産の事情に疎いこと、相手 側に与えるプレッシャーが大きすぎ、本音ベースの話は全く不可能となるこ
と,等々だ。その意味から,単なる相談相手としても弁護士はお勧めしない (むろん, 例外はあろう)。相談相手は,不動産のプロである不動産事業者が
duto

一方, 交渉がもつれたり, トラブルが発生して裁判ともなれば,そこで初 めて弁護士の登場となるわけである。

いずれにしても, 借地関係の解消は,双方にとって多大なメリットが生じ る。申し入れを行う側は自分の立場をわきまえる一方,申し入れを受けた側
も妙に強気にならず,その方法や諸条件について双方誠意を持って折衝し,

話をまとめあげた方が得策である。

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