問題のある賃借人に対する対抗策

1.賃料増額請求等

(1) 賃貸人からの一方的意思表示(口頭でもよい)により増額請求できる。
(2) 増額が認められるのは増額請求の意思表示が賃借人に到達した時から。
(3) (増額0円も含めて)いくらの増額が認められるかは、争いになった場合には、最終的には裁判所が判断した金額による。
(4)争いになった場合には、いきなり訴訟ではなく、まずは調停の申立てが必要(調停前置)
(5)増額後の賃料を受領した後、仮に争いになり、受領賃料が多過ぎた場合には、最終的に認められた適正賃料との差額に、受領時から年10%の利息(単利)を乗せて賃借人に返金してやる必要あり。
(6)争いになった場合、鑑定評価をするか否か、鑑定人は誰とし、どのような鑑定事項とし、鑑定方法はどうするか、どのタイミングでどんな鑑定結果を相手方や裁判所に伝えるか、など専門的な知識や経験を要する。
→交渉や調停段階から、専門家である当職ら「不動産に強い弁護士」に依頼することをお勧めします。
(7) 定期借家契約における賃料不変更特約の活用
 

2.解除による賃貸借契約の終了

(1) 解除原因
1)賃料の不払→少し前までは延滞期間6か月程度が要求されていた。
 ⇒最近は3か月程度に短縮されつつある。
 ⇒特に事業用賃貸借で賃料が高額な場合は、要求される延滞期間が長いと賃貸人に酷だから。
 ⇒単純な滞納額だけでなく、今後の支払可能性等を重視すべき。
 ⇒基本は履行を催告した上で履行されなければ解除。ただし、不履行額が余りに大きな場合で賃借人が資力に乏しい場合には、無催告解除もあり得る。

2)用法遵守義務違反→単純な契約使用目的違反のケース
   (住居⇔事務所⇔飲食店等)
  ⇒騒音や振動、異臭等近所への迷惑行為の場合…受忍限度論
  ⇒その他、用法を巡る問題…cf.ペット飼育の可否等
  ⇒催告解除が原則だが、履行可能性低ければ無催告解除も。
 
3)無断転貸借や賃借権の無断譲渡→親族への「また貸し」等…身分関係の濃淡は?
  ⇒主法人の場合に資本構成、組織内部、名称の変更等→実質的な経営者は誰か?役員の個人的な信用により賃貸した場合等

4)その他、賃借人の債務不履行責任

 

(2) 信頼関係破壊の法理→賃料不払や用法違反等の場合に解除を制限する法理論。
■ 元々は、継続的契約関係において継続の肯否を決定。
■ 賃借人側から解除への対抗措置として濫用のきらいあり。

 
(3) 背信行為の理論→無断転貸や無断譲渡等の場合に解除を制限する法理論。
■ 賃貸借契約の属人的な性格に着目してのアプローチ
■ 結果、属人的には問題なしで解除否定されるケースあり。
 
(4) 解除が権利濫用や信義則違反になる場合
■ 借家でもそうだが、特に借地の場合には、賃借人が失うものが大きいため、判例は更にこれらの法理論を用いてまで解除を否定するケースがある。

(5)以上の解除は、認められれば問題ある賃借人を、いわば無償で退去させることができるわけだから、賃貸人にとっては非常にメリットがある手段。
■どのような場合に認められるのか、当該具体的ケースにおいてはどこまで認められるのか、認められるためには、具体的にどのような要件を充たしていけばよいのか、判断はそう簡単ではありません。
→早目に専門家である当職ら「不動産に強い弁護士」に依頼することをお勧めします。

 

3.正当事由を伴う解約申入または更新拒絶

(1) 正当事由とは?
 
■上記の解除権が否定される場合でも、正当事由が備わることで解約申入や更新拒絶により賃貸借契約を終了することができる場合がある。
■どのような場合に認められるのか、当該具体的ケースにおいてはどこまで認められるのか、認められるためには、具体的にどのような要件を充たしていけばよいのか、判断はそう簡単ではありません。
→早目に専門家である当職ら「不動産に強い弁護士」に依頼することをお勧めします。

(2) 立退料の活用・相場等
 
■ 上記(1)の正当事由の補完事実として認められている。
■ ごく簡単に言えば、各具体的な正当事由を基礎付ける事実以外に立退料の支払ないし弁済提供があれば、全体で見て正当事由が備わった場合同様に解約申入等が認められる、ということ
■ どのような場合に認められるのか、当該具体的ケースにおいてはいくらで 認められるのか、認められるためには、具体的にどのような要件を充たしていけばよいのか、判断はそう簡単ではありません。
→早目に専門家である当職ら「不動産に強い弁護士」に依頼することをお勧めします。