等価交換

借地を分割する等価交換

1 具体例

地主が借地を分筆し,一方の底地を借地権者に譲渡し,他方の借地権を地主が譲り受ける。
例えば100坪の土地について更地価格が5000万円だとした場合,借地権割合が60%だとすると,借地権者が有する価値は3000万円,底地の価値は2000万円である。
50対50で等価交換をすると,100坪の土地を60坪と40坪に分筆し,60坪分の底地を借地権者に譲渡し,40坪分の借地権を地主が譲り受ける。
そうすると,結局借地関係が解消され,底地権者と借地権者とで隣同士の土地の所有者となる。あとは所有権として譲渡ができるので借地人としても底地権者としてもメリットがある。

 

 

2等価交換の際の税制上の特例

所得税法58条,法人税法50条
土地や建物などの固定資産を同じ種類の固定資産と交換したときには,本来は一部譲渡をした以上,譲渡所得税,法人税が科せられるところだが,交換によって取得した財産を譲渡するまでは,課税が繰り延べられる。
注意すべきは税金が優遇されるのではなく,猶予されるにすぎないこと。
 
●要件
 
①交換により譲渡する資産および取得する財産は,商品など持ち続けることを前提とした固定資産でなければならない。従って,商品として譲渡するための土地や建物ではこの特例は使えない。
 
②交換する資産および取得する財産は互いに同じ種類でなければならない。
借地権と底地はともに土地という同じ種類とされている。
借地権と金との交換などはダメ。
 
③交換により譲渡する財産は,1年以上所有していたものであること。
 
④交換により取得する財産は,相手が1年以上所有していたものである必要がある。
⑤交換により取得する財産を譲渡する財産と同じ用途に使用すること。
 
⑥交換により取得する財産と,譲渡する財産との差額が,これらの財産のうち高い方の財産の20%以内であること。
(交換が完全に同じ価格ではなく,高い財産を譲渡したほうに他方から交換差金を授受することもあるが,その価格が上記20%以内なら等価交換の特例が使える。仮に20%を超える差金が生じる場合は,その超える部分は通常の売買と同じなので,等価交換の特例は使えないのが原則である)
 

借地を分割しない等価交換

 
その1 借地人が借地権を地主に譲渡する代わりに,地主から地主がほかに所有している土地を譲り受ける方法。
その2 借地人が借地権を地主に譲渡する代わりに,地主から地主がほかに所有している借地権を譲り受ける方法。

 

投稿者プロフィール

弁護士 鈴木軌士
弁護士・宅地建物取引主任者。神奈川県にて25年以上の弁護士経験を持ち、特に不動産分野に注力している。これまでの不動産関連の相談は2000件を超え、豊富な経験と知識で依頼者にとって最良の結果を上げている。
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