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Part 1 事業用借地権とは

Q1 定期借地権制度の背景

1 定期借地権制度の背景

定期借地権の制度が創設された背景を教えてください。

おいては5~6割、都市部の商業地においては8~9割といったような、い わゆる借地権割合によって一律に取り扱われるようになりました。
「このようにして、借地権は底地よりも価値の高い権利になってしまったの です。借地権価格がどうして発生したのかという点については、借地権者が
その土地を利用することによって土地が繁栄し、地価が上昇したことによる 寄与分を評価したものであるとの見解も存するところです。

土地利用に対する多様なニーズに対応するために創 設されました。

3 敬遠されていった借地権



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定期借地権制度は次のような社会的ニーズから創設されました。

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賃借権の物権化

旧借地法下においては、建物保護ニ関スル法律により、借地権の対抗力が 認められ、二度の借地法改正により、正当事由の要件が硬直化することで借
地期間の更新が強制化されました。その結果として借地権の存続性が保証さ れ、賃借権の物権化が進み、土地は一度貸してしまうと半永久的に返還され
ないという先入観が地主の間で生まれていました。

上記のように借地権は次第に強固な権利となり、価値も高いものとなって いきましたが、それに従い借地権がよく利用されていくようになったわけで

はありません。

原因はいくつか考えられるでしょうが、新たな借地権の設定の際には、借 地権価格の発生に伴い、借地権相当額の権利金の支払いが求められたり、地
価の上昇に伴い、利回り計算による高額な賃料の支払いが求められることに よって負担が大きくなり、所有権を取得するのと大差ない状況になってしま
ったことも一つだと考えられます。

また、既存契約についても、更新料の授受、譲渡および建替え・増改築の 際の承諾料等、契約期間中の賃料以外の金銭授受の慣行が生じたことも原因
の一つでしょう。それらの金銭の授受の慣行が生じた背景には、地価の高騰 に伴い、場合によっては固定資産税の負担のほうが大きいというようなこと
も生じ、低廉な賃料では土地を所有しているメリットがあまりなく、地主の 権利意識の表れとして、定期的な賃料のほかに金銭を求めるようになったこ
とがあるといえます。

つまり、人々は対価の高い借地権の設定を受けるくらいなら所有権を取得 したほうがよいと考え、既存の借地権についても、金銭の授受等における地
主との関係の煩わしさを避けるために底地や借地権の売買により借地権を解 消しようとしていったのです。こうして、新たな借地契約が設定されること
が激減し、既存の借地契約も次第に解消され、借地権は減少の一途をたどっ

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借地権価格の発生

我が国では、昭和30年代の高度成長期より、経済情勢が急激に変化し、人 口の都市集中が進み、また住宅事情も変化して急激な地価の上昇を来しまし
た。こういった地価の高騰と賃借権の物権化という社会的背景を基にして、

いわゆる借地権価格2が発生しました。そして、借地権は税務上、住宅地に

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本来債権である不動産の賃借権が次第にその保護を強化されて物権と類似した性 質を獲得した現象。
土地価格のうち、借地人に帰属する経済的利益の全部または一部を貨幣価値に換

算したもの。

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Q2 定期借地権の類型

Part 1 事業用借地権とは

ていきました。また、戦後すぐに成立した借地権は、昭和40年代に相続の時 期にさしかかると所有権に切り替わり、昭和50年代の更新時期には、この傾
向に一層の拍車がかかったものと考えられます。

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定期借地権の類型

定期借地権にはどのような類型のものがありますか。

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多様なニーズへの対応の必要性

一般定期借地権、事業用定期借地権等、建物譲渡特 約付借地権の3類型があります。

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上記の社会経済情勢の中で、地主による新規の借地供給が減少傾向をたど り、従来の借地関係も徐々に解消して、借地権よりも所有権が資産として選

択され、また土地の利用形態も急速に多様化していきました。 「しかし、土地の利用の手法としては、建物所有を目的とする借地権と建物
所有を目的としない賃借権の2種類のみで、土地利用の多様化には適応でき ない状況になっていました。そのため、土地の利用そのものを固定化、沈滞
化させ、実際のニーズとの間に大きなギャップを生じるに至り、旧借地法の 画一的な規制の問題点が指摘されるようになりました。典型的には、一定期
間なら遊休地を貸したいと考える地主、そして軽い一時金負担で一定期間だ け土地を借りたいという事業者等の要求が高まっていたのですが、従来の借
地制度はこれに応えることができないものだったのです。土地の流動化すな わち土地の新たな供給を促して土地を有効利用するため、既存の借地借家の
権利関係および正当事由制度の見直しを図る必要性が生じていました。

定期借地権には、借地借家法上の一般定期借地権、事業用借地権等および 建物譲渡特約付借地権の3類型があります。

これら3種類の定期借地権についてそれぞれの特色は、次のようになりま to

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一般定期借地権

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定期借地権制度の創設

そこで、借地借家法の制定により、一定の契約条件のもとに一定期間を過 ぎれば借地権が消滅して、土地が必ず返還されるという全く新しいタイプの
定期借地権制度が創設されたのです。定期借地権制度の創設により、借地の 供給増加、公共事業等の基盤整備等の利用の広がりが実際に進んでいます。

なお、定期借地権には、Q2で解説するように、3種類のものがあります。 いずれも普通借地権同様に借地借家法2条1号に定められた、「建物の所有
を目的とする地上権又は土地の賃借権」である借地権の一種であることに変 わりありません。

一般定期借地権は、法22条に規定されています。の存続期間を50年以上と し、契約の更新がないこと、の建物の築造による存続期間の延長を認めない
こと、借地権者の建物買取請求権を排除することを要件とする借地権です。 これらの要件が一つでも欠ければ、定期借地権は成立せず、普通借地権とみ
なされます。

これらの特約は公正証書に限定されませんが、書面にしなければ定期借地 権としての効力は生じません。

書面によることとされる理由は、一般定期借地権であることの趣旨を明確

にするためといわれています。

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