建物の義務者が解体を拒んだために代執行を行った事例

 

建物の義務者が解体を拒んだために代執行を行った事例

●事案の概要

 

  近隣住民から、廃業した建設会社の倉庫、車庫、プレハブなど合計7棟について、当該建物が会社倒産後管理されていないために、破損が著しく周辺に危険を及ぼす可能性があり、その対応を求める要望が大仙市長に対してなされた。
  そこで、大仙市長は、当該空き家について、管理義務者を特定し、条例9条に基づき勧告を行い、条例12条に基づき解体の命令を発した。しかし、義務者が資力不足を理由に履行しなかったため、当該義務者について代執行を行ったものである。
  なお、代執行対象となった空き家については、当該建設会社の代表者が所有者(未登記)であったが、当該代表者の死亡により相続されている。
 

●実施主体

 大仙市
 

●義務者

 本件建物の所有者

 

●対象物件

 場所:秋田県大仙市
 構造、用途、規模:木造平屋建て 倉庫283.14㎡
          木造平屋建て 倉庫160.74㎡
          軽量鉄骨造平屋建て 倉庫 22.75㎡
          軽量鉄骨造(プレハブ)平屋建て 倉庫 17.97㎡
          軽量鉄骨造(プレハブ)平屋建て 倉庫 9.24㎡
          2棟
          木造平屋建て 車庫 150.29㎡
 

●命令の原因となった法令違反

 大仙市空き家等の適正管理に関する条例4条
 (適正管理義務違反)
 

●実施時期

 平成25年
 

●代執行に要した費用および回収状況

 3,549,000円(未回収)
 

●刑事告発等

 特になし
 

●本件代執行の特徴

  空き家となっている建物は未登記のものが少なくない。このため、空き家等の管理義務者を特定することが困難な場合が多い。本件は、もともと未登記の建物であったことに加えて、当該建物について相続があった事案である。
  大仙市では、空き家の管理義務者は相続人(1人)であるとし、実務上の扱いとして、相続人が当該空き家の管理義務者であることを自認する旨の書面(財産確認書)の提出を得ている。
  なお、本件においては、※2事件と同じく、条例上は要求されていない代執行についての同意書を徴している。

投稿者プロフィール

弁護士 鈴木軌士
弁護士・宅地建物取引主任者。神奈川県にて25年以上の弁護士経験を持ち、特に不動産分野に注力している。これまでの不動産関連の相談は2000件を超え、豊富な経験と知識で依頼者にとって最良の結果を上げている。
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