「特定空き家等」という文言に関する解釈

「特定空家等」に対する措置

1 助言・指導
〔助言・指導〕→市町村長は、特定空家等の所有者等に対し、当該特定空家の除却・修繕・立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置(放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態または著しく衛生上有害となるおそれのある状態にない特定空家等については、建築物の除却を除く。2項も同じ)をとるよう助言または指導できる(同法14条1項)。

 

2 勧告
〔勧告〕→市町村長は、14条1項の助言または指導をした場合、なお当該特定空家等の状態が改善されないと認めるときは、当該助言または指導を受けた者に対し、相当の猶予期限を付けて、除却・修繕・立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとることを勧告することができる(同条2項)。

 

3 命令
 【命令】→市町村長は、2項の勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合、特に必要があると認めるときは、その者に対し、相当の猶予期限を付けて、その勧告に係る措置をとることを命ずることができる(同条3項)。この場合の、措置義務者への手続保障がある(①意見書及び自己に有利な証拠を提出する機会を与える義務(同条4項)②意見書の提出に代わる公開による意見の聴取請求権(同5項)③出頭を求めて公開による意見聴取の実施義務(同6項)④聴取期日等の期日の3日前までの通知・公告義務(同7項)⑤意見聴取時に証人を出席させたり自己に有利な証拠を提出できる権利(同8項))。
   《命令の公示義務》→市町村長は、3項の命令をした場合、標識の設置その他国土交通省令・総務省令で定める方法により、その旨を公示しなければならない(同条11項)。→11項の標識は、3項の命令に係る特定空家等に設置できる。この場合、当該特定空家等の所有者等は、当該標識の設置を拒み、または妨げてはならない(同条12項)。
   《命令の行政手続法の不適用》→3項の命令は、行政手続法(平成5年法律第88号)第三章(12条及び14条を除く)の規定は適用しない(同条13項)。
   《命令違反に対する制裁》→命令違反者は50万円以下の過料(同法16条1項)

 

4 行政代執行
 〔行政代執行〕→市長村長は、3項により必要な措置を命じた場合、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき、または履行しても同項の期限までに完了する見込がないときは、行政代執行法(昭和23年法律第43号)の定めに従い、自ら義務者のなすべき行為をし、または第三者をしてこれをさせることができる(同条9項)。

 

5 措置義務者を確定できない場合の代執行(略式代執行)
 〔措置義務者を確定できない場合の代執行〕→3項により必要な措置を命じようとする場合、過失がなくてその措置を命ぜられる者を確知できないときは、市町村長は、その者の負担において、その措置を自ら行い、またはその命じた者もしくは委任した者に行わせることができる。この場合の、措置義務者への手続保障がある(相当の期限を定めてのその措置を行うべき旨及びその期限までにその措置を行わないときは、市町村長またはその命じた者もしくは委任した者がその措置を行うべき旨を予め公告する義務)(同条10項)。

投稿者プロフィール

弁護士 鈴木軌士
弁護士・宅地建物取引主任者。神奈川県にて25年以上の弁護士経験を持ち、特に不動産分野に注力している。これまでの不動産関連の相談は2000件を超え、豊富な経験と知識で依頼者にとって最良の結果を上げている。

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