競売になると値段は大幅に安価となってしまうのでしょうか?
競売を求めた場合、値段は大幅に安価となってしまわないのでしょうか?
共有物分割請求により、最終的には共有不動産の売却ができるということは説明しましたが、そのような説明をすると、競売になると値段は市場価格の何割かになってしまうのではないですかという心配をされる方もおられます。
確かに競売で落札される価格はそのときの経済状況に大きく左右されるものでして、市場価格の何割かでないと落札されない時代があったのも事実です
しかし、昨今は逆で競売の市場はかなり回復しており、人気エリアの物件ですと市場価格をむしろ上回る値段で落札されている競売案件も多数あります。
これについては、関係する資料があります。
すなわち、現在裁判所は「BIT」というサイトを設けて、全国の競売物件情報を公開していますが、この公開された競売物件情報を、全国の競売評価人候補者で結成された全国競売評価ネットワークが分析したデータがあります。
このデータによりますとに、平均買増率2(売却基準価格を競売市場修正前に割り直した金額つまり市場価格相当額に対する落札額の割合)は以下のとおりとの事です。
・平成24年度 東京地裁の平均買増率2 94・8%、全国の平均買増率2 91・8%
・平成25年度 東京地裁の平均買増率2 106・0%、全国の平均買増率2 96・1%
・平成26年度 東京地裁の平均買増率2 108・6% 全国の平均買増率2 94・7%
これによると、全国的に市場価格に近い値段で落札されているものがかなり多く、特に東京地裁では市場価格よりも高額で落札している案件も多いことが判ります。 こうしてみると、現状ではたとえ競売になっても市場価格に近い値段かむしろそれを上回る値段で落札されているものが多いことが判ります。競売だと「市場価格の何割かになってしまう」という心配は、ほとんどする必要がないことが判ります。むしろ「持分」のまま処分する方が余程安価となってしまう、ということです。
投稿者プロフィール

- 弁護士・宅地建物取引主任者。神奈川県で約30年にわたり弁護士として活動しており、特に不動産分野に注力してきた。これまでの不動産関連のご相談は2,200件を超え、550件ものご依頼を受任。豊富な経験と知識で、常に依頼者にとって最良の結果を追求している。特に、不動産の共有関係や借地関係の解決には強い関心を持ち、複雑な問題も粘り強く解決に導く。
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