住宅ローンのリスケ

住宅ローンを組んだ時と比べて、所有者の収入状況や、市場の金利状況が変わっていくことがあるため、住宅ローンの見直しは定期的に必要です。

 

例えば、子供が独立して教育負担が減り、ローンの負担が軽くなったという方もいれば、給料カット等により収入が減少しローンの負担が重くなったとい う方もいるでしょう。

 

しかし、現在の日本の景気悪化により見直しを考え始める方の多くは後者です。住宅ローンの負担 が家計に重くのしかかってきた、どうにかしてほしい。というようなご相談が急増しています。

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そのような方のために住宅ローンの見直しについてどのような方法があるのか、どのようなメリットがあるのかをここで少し説明させていただきたいと思います。

住宅ローンの見直し方法には、主に「借換え」、「繰上げ返済」、「返済方法の変更」があります。
 

(1)借換え

借換えとは現在のローンを一括返済するために新しくローンを組むことを言います。現在組んでいる住宅ローンより、低金利なものや個々の条件にあったローンで元のローンを一括返済し、今後は新しく組んだローンを返済していきます。

 

一般的には固定金利で高金利なローンを変動金利等で低金利のローンに借換えることが多いですが、金利の上昇局面では、変動金利のものを固定金利のものに借換える場合もあります。しかし、ただ借換えを行っても元のローンより増えてしまっては逆効果です。

 

金融機関によっては担保評価次第で融資を受けられないこともあります。(担保割れの場合でも融資に応じる金融機関もありますので複数の金融機関に確認することが必要となります。)また、借換えの場合には新規に融資を受けるときと同じように保証料などの諸費用がかかるためこの点も注意が必要です。

 

(2)繰上げ返済

繰り上げ返済とは、通常の返済とは別に、返済しているローンの元金の一部または全部を返済することをいいます。このように聞くと資金に余裕のある場合しかメリットはないのではないか、と思われる方も多いでしょう。

 

繰り上げ返済には「期間短縮型」「返済額軽減型」の2つのタイプがあります。「期間短縮型」毎回の返済額は変えずに、残りの返済期間を軽減する方法です。こちらは皆様が思われた通り、資金に余裕が出来た方向けの方法なのでここでは説明を省かせていただきます。もう一方の「返済額軽減型」は、残りの返済期間は変えずに、毎回の返済額を軽減する方法です。家計が苦しくなり、住宅ローンの負担を少しでも減らしたい方におすすめの方法です。

 

 

近年、預貯金の金利があまりに低いため、預貯金で運用するよりもローンの操り上げ返済をするほうが効果的な場合があります。しかし、「返済額軽減型」は、繰り上げ後のローンの残高、その時点での適用金利、残りの返済期間、の3つの要素から、繰り上げ後の返済額が計算されますが、変動金利の場合は繰り上げ時の金利水準によっては、返済額がほとんど減らない場合があるので注意が必要です。また、繰り上げ返済を行う時期によってもその効果が大きく変わってきます。一般的には、借入から時間が経っていない時点での繰り上げ返済の方が、金利を発生させる元本を少しでも早く減らせることになるため、発生利息総額も抑えることができる結果、返済総額を減らせます。

 

 

(3)返済方法の変更

借換えは諸経費がかかるし、繰上げ返済はある程度まとまった資金が必要だし…と、効果よりもまずは目先の住宅ローンの負担を減らすことだけを一番に考えたい。という方には現在の住宅ローンの返済方法の変更をおすすめします。景気の悪化からこのような悩みを持つ方が増えてきていることもあり、最近では金融機関側も対応策を考えているようです。

 

 

例えば、“毎月払いとボーナス払いの併用”から“毎月払いのみ”への変更や、“元金均等返済”から“元利均等返済”への変更も金融機関側が応じてくれれば可能です。また、倒産や失業などにより、住宅ローンの返済が難しくなった場合には“返済期間の延長”“一定期間における返済額の減額”が認められる場合もあります。

 

これらの対応は、融資を受けた金融機関ごとに異なるため金融機関への確認が必要となります。以上が住宅ローンの見直しを考えたときに検討すべき方法ですが、どの方法も注意すべき点はいくつもあり、何が最善の策なのかは、各人の収入状況や、ローン残高等によって異なります。知識のないまま、新たにローンを組むことや一部繰上げ返済を行う事に大きな不安を感じる方も多いかと思います。

 

そのような方は、是非一度ご相談ください。より負担を軽くし有利になる方法を専門家の目線から金融機関とも協議等の上でアドバイスさせていただきます。

 

投稿者プロフィール

弁護士 鈴木軌士
弁護士・宅地建物取引主任者。神奈川県にて25年以上の弁護士経験を持ち、特に不動産分野に注力している。これまでの不動産関連の相談は2000件を超え、豊富な経験と知識で依頼者にとって最良の結果を上げている。
事務所概要
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