夫婦の離婚に伴い、夫婦共有不動産の妻の単独取得に成功した事例

これは、夫婦の離婚に伴う財産分与として、夫婦の共有であった不動産を妻(奥様)が単独取得することに成功した事例です。

当職は、奥様から夫婦関係悪化による離婚に関するご相談を受けました。奥様は、夫から離婚調停をはじめとする複数の調停を申し立てられていました。

そこで、当職が、奥様の代理人として、これら各調停に対して対応していくことになりました。

 

当職が対応していく中で、離婚調停は不成立となり、夫から奥様に対して離婚訴訟が提起されました。

この離婚訴訟では、奥様も夫も離婚すること自体には異存はなかったものの、お子様の親権及び財産分与が争点となりました。

夫婦の財産の中で特に問題となったのは、夫婦の共有(持分各2分の1ずつ)となっている自宅不動産(土地建物)でした。この自宅には、夫婦の別居により奥様のみが居住していました。仮に、夫婦間の財産分与によって、この自宅不動産が夫の手に渡ってしまったり、売却されることで、売却代金を夫婦間で分け合うことになってしまうと、奥様は自宅を失うこととなり、当時の奥様の経済的状況等からしても、すぐに転居先を見つけるのが難しい状況でした。

そこで、当職は、奥様が財産分与によって自宅不動産を単独取得できることを最優先に、対応を考えました。

上記のとおり、お子様の親権も争点となっていましたが、まずは奥様の安定した生活が最優先となるため、当職は、①(奥様側に従前、親権を否定されてしまうような特殊事情もあったため)お子様の親権は夫に譲る、②お子様との交流は面会交流を充実化させることで図っていく、③親権を譲ることと引換に(将来、お子様と一緒に住むことができるようになった場合に備えて)自宅不動産を単独取得できるよう交渉する、ことを奥様に提案しました。奥様は当職からのこの提案に応じて下さいました。

当職は、これを踏まえ、離婚訴訟を訴訟上の和解で解決することを前提として、奥様が財産分与として自宅不動産を単独取得する方向で、裁判所を介しながら夫側の代理人弁護士と交渉を重ねました。

問題となったのは、自宅不動産に住宅ローンが残っており、夫がこれを返済していたことでした。夫側としては、住宅ローンを自分が支払い続けている以上、当然のことながら、この自宅不動産を奥様が単独取得することに抵抗を示したからです。

残住宅ローンの金額は約2500万円でしたが、上記のとおり、これは、自宅不動産を単独取得するためには、奥様が支払っていかざるを得ない(負担していかざるを得ない)ものでした。但し、住宅ローンの借入名義を夫から奥様に変更することはできなかったため、名義は夫のまま、支払のみを奥様が行っていく必要がありました。

夫側からは、重大な財産である不動産を手放すことに加え、住宅ローンの借入名義自体は夫のままとならざるを得ないため、奥様が残住宅ローンを支払っていくといっても、まずは(前倒し返済分として)相当程度の頭金を和解成立後速やかに支払ってもらわないと、自宅不動産を渡すことはできない旨を言われました。

この点について、当職は、夫側の主張にも理由があると思料し、奥様と協議をした上、まずは残住宅ローン約2500万円のうちの500万円を一括で支払うことと引換に自宅不動産を奥様の単独名義とすること、以降は奥様が毎月住宅ローンの返済分を夫名義の住宅ローン返済金の引落口座に振り込む形で残住宅ローンを返済していくこと、を夫側の代理人弁護士に提案しました。

加えて、お子様の親権を夫に譲ることを条件に、別居時(=夫が自宅に居住しなくなった時点)以降に夫が支払ってきた住宅ローンについては、奥様にその清算を要求しないことを求めました。

当職の粘り強い交渉の末、夫に上記の方法による解決に同意してもらうことができました。

以上のとおり、離婚訴訟上の財産分与について交渉を重ねたことにより、依頼者である奥様に大きな利益を与える解決を裁判上の和解により実現することができました。

投稿者プロフィール

弁護士 鈴木軌士
弁護士・宅地建物取引主任者。神奈川県にて25年以上の弁護士経験を持ち、特に不動産分野に注力している。これまでの不動産関連の相談は2000件を超え、豊富な経験と知識で依頼者にとって最良の結果を上げている。