任意売却のケース(債務整理の場合)は極力、弁護士に相談すべきです!必要なケースを解説
「任意売却では弁護士が必要なのでしょうか?」
「任意売却で弁護士が必要なケースは?依頼するメリットは?」
ケースによっては弁護士に依頼することが必要で、依頼により不利益を被ることなく任意売却ができる場合があります。
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任意売却の際に弁護士に相談することがほとんどない、というのは本当なのでしょうか?
確かに相談することは少ないといえます。なぜなら、任意売却は不動産取引のうちの1つで、不動産(仲介)会社と(仲介)契約等をして進めていくものがそのほとんどだからです。

上記ように不動産(仲介)会社が主となって任意売却をおこなうことが多いです。そのため、基本的には弁護士が出てくる機会はほとんどありません。例外として、弁護士が出てくるのは任意整理や自己破産といった債務整理をするケースが考えられます。弁護士に極力、依頼すべきケースについては次章で詳しく解説していきます。
もし、債務整理の必要がない場合や自己破産などを考えていない場合でも、不動産に精通した弁護士の場合には、適切な相談先(不動産(仲介)会社等)を照会することも通常は可能です。
任意売却で弁護士への相談が必要な場合とは、どんな場合なのでしょうか?
任意売却をする際に債務整理もする場合は弁護士が必要です。
詳しくは以下の通りです。
任意売却で弁護士に相談が必要なケース |
(1)任意整理が必要な場合 (2)自己破産をする場合 (3)個人民事再生をする場合 (4)事業の整理を行う場合 |
「自身の場合は弁護士に相談する必要があるのか」を改めて再確認してみて下さい。
(1)任意整理が必要な場合
任意整理とは、弁護士や司法書士が債権者(お金を貸している人)と交渉し、住宅ローン以外の債務における利息のカットや返済額を下げて支払いを楽にする手続きのことを指します。任意整理をする場合は弁護士に依頼するのが無難でしょう。なぜなら、債権者との交渉は、債務者(お金を借りている人)が行ってもよいのですが、法律に関してやその他の専門的な知識を持った人が行うことで交渉が成功する確率が上がるからです。任意整理は債務の利息さえなければ、(元金等を)分割で返済できそうな場合に使われます。これにより現在の住宅ローンを払えるようになるなら、任意売却する必要はありません。
例えば、消費者金融のローンの利息をカットすれば毎月問題なく、毎月の住宅ローンを支払えるようになる場合ですね。このように任意整理をおこなう場合には、専門的な知識を求められるので、弁護士に依頼するとよいでしょう。
▼任意整理が該当する人
・住宅ローン以外の利息をカットすれば(元金等の)債務に加え、従来どおり住宅ローン債務を支払い続けられる人
・自己破産までは考えたくなくて、かつ、ある程度の支払いはできる人
(2)自己破産する場合
仮に任意売却をしても残ってしまう債務の返済が不可能で苦しんでいる場合、自己破産をして免責を受けることで借金を0にするというケースもあります。例えば、借金のほとんどが住宅ローンである、または住宅ローンだけでなく、さまざまなところからお金を借りていて、全く返済がほとんどできないレベルの借金がある場合等です。
1つ問題点があるとすれば、連帯保証人がいる場合です。仮に債務者本人が自己破産をしても連帯保証人には債務の返済義務が残ります。そのため、連帯保証人がいる場合は、連帯保証人とともに弁護士に相談すべきです。また、自己破産も法律の知識が必要なため、弁護士に相談をして進める必要があります。
このように、多重債務を抱えていてご自宅等を任意売却してもどうにもならない場合には、自己破産することも含めて弁護士に相談すべきものと思われます。
▼自己破産に該当するケース
・多重債務で自宅等を任意売却しても「毎月どうしても支払ができない・・・」という方
(3)個人民事再生をする場合
住宅ローン以外にも多額の債務を抱え、返済が厳しい人が選ぶケースの1つとして個人民事再生が挙げられます。個人民事再生は、住宅ローン以外の借金を減らすために裁判所を通しておこなう債務整理のことです。ただし、安定した収入があることが条件になります。利息がなくても返済が厳しい場合の(元金等の)債務を圧縮するためにでよく使われます。
例えば、任意整理をして利息カットをしても債務者側が認めてくれるカットでは「支払いが厳しい・・・」という場合です。個人民事再生は法律等の知識が必要なため、個人ではできず、弁護士に依頼する必要があります。
また、住宅ローンが残っている住宅については、「住宅ローン特例」というものを利用することができます。住宅ローン特例は、住宅ローンは減額されませんが、住宅ローン以外の債務は、債務額や収入額等に応じて5分の1から最大10分の1に減額できるシステムです。
このように住宅ローン以外の債務を圧縮することで、住宅を手放さず手続きがおこなえるメリットがあります。しかし、残された住宅ローンの支払いすらも滞るようであれば、一旦は手元に、結局は残した自宅不動電でも任意売却をすることにならざるを得ないでしょう。
▼個人民事再生に該当するケース
・(住宅ローン以外の)債務を圧縮すれば、(住宅ローンもそれ以外も含めて全て)支払っていける方
・自己破産を避けたい方
(4)事業の整理をおこなう場合
自身で経営している会社の経営悪化や不振によって住宅ローンが支払えず、事業整理を行う場合も弁護士に依頼が必要です。債務の(私的)整理を進める際に、会社所有、または多くは(連帯)保証人である社長(個人)所有の不動産の任意売却をすることがあります。債務の(私的)整理というのは、裁判といった法的整理によらずに債権者と債務者との自主的協議により再建または清算を図る手続です。
このように事業整理を行う場合も弁護士に依頼する必要があります。
▼事業の整理に該当するケース
・会社が経営不振で事業整理をする際に会社や自宅等不動産の任意売却をしなければいけない場合
弁護士に依頼して任意売却を進める場合の流れについて
弁護士に依頼した場合、任意売却は、どんな流れで進んでいくのでしょうか?
具体的には以下のとおりです。
(1)弁護士に相談する
まず始めに、任意売却の経験が豊富な弁護士に任意売却の相談をします。弁護士に相談するにあたって現在の資産や負債が分かる以下の書類を用意するとスムーズです。
・不動産購入時の書類(不動産購入時の売買契約書や建築確認申請時の各書類、間取り図)
・ローン残債の資料(返済計画書やローン償還返済一覧表、住宅ローン借入時の金銭消費貸借契約書など)
・借入先の一覧表(各借入や金額が分かるもの)
・債権者からの通知(催促状や催告書)
・家計の収入状況が分かるもの(給与明細など)
これらの書類を持って「(任意売却も含めて)困っていることや気になること」を相談しましょう。その上でローンの滞納状況や残債務、各債権者についてなども伝えてください。
(2)不動産査定を行う
弁護士と協力関係にある不動産会社や自身で検討した不動産会社に不動産の査定をしてもらいましょう。適切な価格査定をしてもらうことで、売却代金がローン残債を上回るアンダーローンか売却代金がローン残債を下回るオーバーローンかを判断します。これにより弁護士と今後の方針を立てることができます。
(3)弁護士と契約を交わす
任意売却の方法や時期、依頼主の相談に基づいた今後の方針や弁護士費用の見積もり(説明書)を示してもらった上でから委任契約書を交わします。それでは、「弁護士費用って大体どれくらいかかるものでしょうか?」費用相場については依頼する弁護士によっても変わりますが、任意売却の際は売却代金から支払われることが多いため、少なくとも上記の「アンダーローン」の場合には、基本的に持出は要らない場合が多いです。
詳しくは、【5.任意売却で弁護士に依頼した場合かかる費用はいくらでしょうか?】で解説しているのでそちらをご覧ください。
(4)債権者に交渉する
任意売却をする場合、債権者の同意がなければ売却できません。そのため、弁護士が以下のことを交渉します。
・売却価格の調整(買主に対して)
・残債の返済方法(債権者に対して)
・引越等費用控除の申請(買主他に対して)
・競売の取下げ(債権者に対して)
任意売却に精通している弁護士はどう進めていくか、どう交渉すれば成功するのかを知っているため、心強いです。
万一、交渉が決裂した場合でも再び同意してもらえるようなノウハウも場合によってはあります。
(5)売却活動をスタートする
任意売却の同意が得られれば、通常の不動産売却と同様、売却活動をします。自宅に住みながらの内覧対応になるので、家の掃除などを行い内覧希望の方を受け入れるための最低限の準備等をしておく必要があります。ところでこのような債務整理の場面での、任意売却の場合、万が一、期限内に売却できなければ競売にかけられることになってしまいます(滞納開始後、原則として6ヵ月程度が猶予)。よって、できるだけ早く売ることが大切です。競売にかけられてしまうと、任意売却よりも安い金額で売却されてしまうことがほとんどです。
そこで、競売を避けるためにも、期間内に任意に売却できるように自身で準備できることを行うことが大事です。自身でできる準備ことの一つとして、内覧時の対応が挙げられます。少しでも高く売るためには、少なくとも内覧時には、できるだけ綺麗に掃除・整理整頓されていることが必要です。買主が「欲しくなること」が必要だからです。
マンション売却を考えている方の中で内覧やその際の対応に関して具体的に知りたい方はマンション売却の内覧について詳細に書かれた記事等をご覧ください。
(6)売買契約締結~決済・引渡
買主が売買条件に同意をしたら、債権者へは「購入申込書」の写しと物件概要や売却代金といった必要事項が記載された「売買代金配分表」を作成して提出します。購入申込書とは買主側が、記載売買代金配分表は、弁護士または仲介不動産会社が用意するのが一般的です。
債権者から合意が得られれば不動産会社によって買主との売買契約を締結します。また、買主側は事前に金融機関と決済=引渡日を相談します。よって、売主側も、買主とも相談して自身の退去日及び引渡日を決めることになります。順次、(売主の)引越・決済・引渡を行うことになります。
(7)残債の返済計画をたてる
任意売却をしても、売却代金がローン残債を下回っていた場合は、残りの残債を返済していく必要があります。しかし、そもそも金銭的余裕がないのは明確です。よって、できるだけ軽い負担での月々返済となるように調整する必要があります。そこで、現在の収入やライフスタイルを考慮しながら実際に支払える金額の交渉をします。一般的には月額5,000~50,000円程度の返済となることが多いようですが、債務とライフスタイルによっては月々5,000円ほどに抑え必要もあります。
このように無理な返済額にならないように、弁護士が極力有利となりように交渉を致します。
任意売却のときに弁護士に依頼するメリットは何でしょうか?
任意売却で弁護士を依頼するケースについて、任意売却の際に弁護士を依頼するメリットって一体どんなことなのでしょうか?
(1)債務整理をスムーズにおこなえる
弁護士に任意売却を依頼するメリットの1つは、債務整理をスムーズに行えるということです。債務整理をスムーズにおこなうことで、ストレスも、支払もできるだけ少なくできるからです。任意売却自体は不動産(仲介)会社が行いますが、弁護士に依頼することで特に任意売却後の債務整理をスムーズに行えます。
例えば、任意売却後「残債の利息・遅延損害金さえなければ、支払えるのに・・・」という場合には、弁護士によって任意整理をしてもらい、利息・遅延損害金をカットさせるといったことです。法律に関わること等を弁護士に任せることによって、債務整理がスムーズにでき、支払いも楽になる可能性が高いです。
(2)債権者に納得してもらいやすい
2つ目として、「債権者に納得してもらいやすい」というメリットがあります。任意売却の際は、債権者(借入先)からの許可がないと売却ができず、この場合、ときには弁護士による交渉が必要なケースがあるためです。
例えば、そこで弁護士に依頼すると、任意売却時の引越費用や退去時期の調整といった交渉も行ってくれます。法律の専門家が交渉すれば債権者にも納得してもらい易いです。
特に既述した「オーバーローン」の場合の引越費用は債権者との交渉によって売却代金から債権者への返済額のうち、多少の負担をしてくれるかどうかが変わるため、弁護士が交渉に当たると成果が出易いです。
また、任意売却時の各債権者の同意を得やすいだけでなく、売却後に残る残債支払の方法について等の交渉も行いますので心強いのではないでしょうか。
(3)不利益が被りにくい
弁護士に依頼することで自身に不利益が被りにくいというメリットがあります。なぜなら、弁護士が、依頼主の利益を優先しながら任意売却を行うからです。売却活動時には不動産業者の力が必要ですが、法的な部分に関しては弁護士が主となって手続きを進めます。その結果、不動産(仲介)業者中にも時々いる、余計な手数料を取るような「悪徳業者」に引っ掛かることがありません。
(4)債務の督促がなくなる
弁護士に依頼し、任意整理の手続きをおこなうと、債権者からの債務の督促がなくなるため、債務者(依頼者)もストレスが減ります。なぜなら、任意整理をおこなうと「受任通知」という書面が弁護士から債権者へ送られるからです。債権者が「受任通知」を受け取ってからは、債務者に直接取り立てることは貸金業法といった法律によって禁止されています。
そのため、電話や督促状が自宅や職場には来なくなります。
任意売却で弁護士に依頼した場合かかる費用はいくらでしょうか?
それでは、弁護士への依頼を検討している際に「任意売却を弁護士に依頼するとどれくらい費用がかかるものなの?」と気になりますよね。任意売却を弁護士に依頼した場合、基本的に持ち出しでの費用は必要ない場合が多いです。
但し、以下の2点の場合は基本的に持ち出しでの費用がかかります。
・弁護士に相談する場合の法律相談料
・債務整理をする場合のうち、少なくとも既述のオーバーローンの場合の費用
弁護士への相談料は1時間あたり10,000円程度のところが多いですが、相談の内容によっては初回無料のところもあります。
任意売却の経験が豊富な弁護士を選ぶためには、どうしたら良いのでしょうか?
任意売却を成功させるために、任意売却の経験が豊富な弁護士を選びましょう。なぜなら、債務整理の経験が豊富な弁護士は多くいますが、任意売却は不動産に関する、時には高度な知識を要する特殊なケースであること等も多く、経験したことのない弁護士も多くいるからです。
まずは、ホームページなどで不動産、特に「任意売却」の実績を謳っているところを中心に探してみましょう。
「任意売却」に強い弁護士はもちろんですが、選ぶ際は以下の点も意識しましょう。
・(経験が豊富なため)交渉術に長けている
・こちらの希望や要望も丁寧に聞いてくれる
・連絡が取り易い
・質問し易い
・親身になって相談に乗ってくれる
このように任意売却の際の弁護士選びはしっかりとおこなうことが大切です。見極めをきちんと行わないと、債務整理や任意売却の成功率が下がってしまいます。任意売却や債務整理をスムーズにおこなうためにも「任意売却」の経験が豊富な弁護士を選びましょう。
まとめ
本記事では「任意売却」における弁護士の必要性について紹介しました。
任意売却のうち、住宅ローンのほかに債務がある方は弁護士に相談すると結果的によい方向に進む場合が多いです。
投稿者プロフィール

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弁護士・宅地建物取引主任者。神奈川県にて25年以上の弁護士経験を持ち、特に不動産分野に注力している。これまでの不動産関連の相談は2000件を超え、豊富な経験と知識で依頼者にとって最良の結果を残している。