紛争事例

1  紛争事例

  仲介業者Y1は、自社のホームページに売却物件としてA所有の甲土地を売却価格1億円で掲載していた。これをみた仲介業者Xは、客付けをさせてほしいとY1に頼み甲土地の物件資料を入手して数社に物件情報を流した。宅建業者Y2からXに甲土地を見たいとの連絡があり、XはY2を現地案内した。数日後、Y2は、7000万円であれば金融機関から融資を受けることができる、それ以上は無理だが値交渉をしてほしいと言った。Xは、Y1と数回にわたって値交渉したが、Aは1億円を下回る値段では売らないと強い姿勢であった。XとY1との交渉は進まず途絶えた。Y2は、別の仲介業者Y3から甲土地を紹介された。Y2は、Y3を通じてY1と交渉し直したところ売買代金9000万円で売買契約が成立した。Xは、後日、Y3の仲介によりAとY2間で売買契約が成立したことを知った。

Xは、直接取引(“抜き取引”)を理由にY2に対し報酬請求ができるか。Y1、Y3に対し損害賠償請求ができるか。

2  事案分析

 (1) 仲介業者の委託者に対する報酬請求

 (2) 仲介業者の他の仲介業者に対する損害賠償請求

 《争点》直接取引における報酬請求の可否、仲介契約の成否、相当報酬の算定、直接取引に介入した仲介業者に対する損害賠償請求の可否

投稿者プロフィール

弁護士 鈴木軌士
弁護士・宅地建物取引主任者。神奈川県にて25年以上の弁護士経験を持ち、特に不動産分野に注力している。これまでの不動産関連の相談は2000件を超え、豊富な経験と知識で依頼者にとって最良の結果を上げている。
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