近年の不動産をめぐる状況

1.地価は上昇傾向

国土交通省が18日発表した2014年7月1日時点の都道府県地価調査(基準地価)は、全国の住宅地・商業地を含む全用途平均で前年比1.2%の下落となり、5年連続で下落率が縮小した。
3大都市圏では0.8%上昇し、2年連続の上昇となった。
地方圏の下落率も1.9%と、3年連続で下落率が縮小した。
都市開発やオリンピック効果に加えて、地方でも交通アクセスの改善や外国人観光客増加の効果が表れた。
用途別にみると、商業地は全国平均で1.1%下落し、リーマンショック以降7年連続の下落となったが、下落率は5年連続で縮小した。
堅調な住宅需要を背景に商業地をマンション用地として利用する動きが全国的に見られたことも押し上げ要因となった。
住宅地も1.2%下落と23年連続の下落となったが、下落率は5年連続で縮小。
住宅着工件数は増税に伴う反動減で減少傾向だが、土地取引は引き続き動意があり、地価への影響は限定的となっている。
特に、利便性や住環境が良好な住宅地では上昇基調を強め、それが周辺住宅地の上昇につながっている。(2014年9月18日ロイター)

 

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2.人口はピークアウトし、高齢化は進行中

→新築住宅は減少。中古住宅は増加。
高齢者向け不動産の需要は増加、資産運用としての不動産活用も増加。
※ サ高住…サービス付き高齢者向け住宅とは、「高齢者住まい法」の改正により創設された介護・医療と連携し、高齢者の安心を支えるサービスを提供するバリアフリー構造の住宅のこと。

 

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3.業務のIT化の進行

→自宅でも仕事が出来るようになり、オフィス需要が減少。
※クラウドサービス…インターネットをベースとしたコンピュータ資源の利用形態である。
ユーザーは、コンピュータによる処理やデータの格納(まとめて計算資源という)をネットワーク経由で、サービスとして利用する。
 

4. 3.11後、建物の耐震性や防災設備についての意識が高まっている

→企業・消費者の意識や行動の変化により、不動産の評価も変化。
※ BCP…災害などリスクが発生したときに重要業務が中断しないこと。
また、万一事業活動が中断した場合でも、目標復旧時間内に重要な機能を再開させ、業務中断に伴うリスクを最低限にするために、平時から事業継続について戦略的に準備しておく計画。  
 

5.消費者契約法により消費者保護の要請が拡大

→賃貸借契約が事業者対個人の契約の場合、消費者契約法が適用され、賃借人がより大きな保護を受ける。
契約更新料の有効性が問題となった裁判例も借主側は消費者契約法違反を主張した。
※ 消費者契約法10条…民法 、商法 (明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

投稿者プロフィール

弁護士 鈴木軌士
弁護士・宅地建物取引主任者。神奈川県にて25年以上の弁護士経験を持ち、特に不動産分野に注力している。これまでの不動産関連の相談は2000件を超え、豊富な経験と知識で依頼者にとって最良の結果を上げている。
事務所概要
弁護士法人 タウン&シティ法律事務所
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