底地と借地権をいっぺんに第三者に買い取ってもらうこと

底地と借地権をいっぺんに第三者に買い取ってもらうこと

1 具体例

 
その1 借地人と地主が協力して,借地と底地を一緒に買い受けてくれる人を探す。その場合,仲介業者にお願いすることになる。
事前に,借地人と地主間で利益分配,手数料分配,解体費用を出すときは(更地として売却する場合)その費用負担などを決める必要がある。仲介業者を間にして話を取りまとめてもらうことも応じてくれる場合がある。
 
その2 不動産開発会社(いわゆるデベロッパーが開発する場合)が地主と借地人それぞれに個別に商談を持ちかけ底地と借地権を買い取る方法。
デベロッパーとしてはそれぞれについて有利な条件で購入しようとするため,底地の価格や借地権の価格について秘密にする傾向がある。それはほかの商談に情報が漏れると話がこじれてしまうことがあるからである。また,デベロッパー自体が秘密にされ一般の不動産業者が話を持ちかけてくることも多い。これは有名デベロッパーであると値段を吊り上げられてしまうことがあるので,それを避けるためである。

 

2 注意点

地主にせよ,借地人にせよ,底地の買い取りや借地権の買い取りの話を持ちかけられても,無下に断る必要はない。話次第では借地関係を終了させるよい機会となる可能性がある。
もっとも,契約内容については十分注意が必要である。
 
すなわち,底地を高く買うと言われても,借地権が購入出来なかったことを解除条件とされることがあるが,そうすると底地を売買契約したが,借地権の決裁がなかなかできずいつまでも底地の売買の決済もできず,宙ぶらりんの状況に置かれてしまうということがある。
 
また,地主が多数の土地を借地人に貸している場合に,すべての底地をいっぺんに譲渡できないと,虫食い状態の土地が残ってしまうような状況になりかねない。そうすると土地の価値が大幅に減少してしまう。
そこで,解除条件付きの契約などでは条件の吟味を十分して,期限を区切ることなどで対応するべきである。
逆に無条件の買い取りであったり,底地の移転登記と引き換えに金銭が支払われる契約の場合は,借地関係を消滅させるのに有効な場面と言える。

 

 

投稿者プロフィール

弁護士 鈴木軌士
弁護士・宅地建物取引主任者。神奈川県にて25年以上の弁護士経験を持ち、特に不動産分野に注力している。これまでの不動産関連の相談は2000件を超え、豊富な経験と知識で依頼者にとって最良の結果を上げている。
事務所概要
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