建物を貸していた相手が家賃を支払わなくなったため退去を求めた事案

ご相談内容

依頼者の早乙女さん夫妻(仮名)は、10年以上前から山下さん(仮名)という方に一戸建ての建物を貸していましたが、家賃が滞るようになり、庭の手入れなどもしていないため庭の木が道路にまで生い茂るようになってしまい、周りの住民にも迷惑となっていたため、返還を求めようと考えました。当初は、家賃の回収を頼んでいた管理会社に依頼しましたが、思うように進まなかったため、当事務所に相談に来ました。

 

解決内容

私たちは、まず、山下さんに事務所に来訪してもらい、同人から退去してくれないかと水を向けてみました。そうすると、山下さんも建物からの退去に合意してくれたので、すぐに退去合意書を作成し、約2か月後に明渡してもらうことで合意しました。

 

しかし、上記の明渡期日が近づいても何の連絡もなく、此方からも連絡が取れなくなってしまいました。

そこで、私たちは即決和解の申立という手続きにより解決を図ることにしました。同手続きは、予め和解内容について合意が出来ている場合に、裁判所においてその合意内容に基づいて和解をするという手続きです。同手続きのメリットは、一日で手続が終了する事と、その約束を相手が破った場合には、建物等の不動産の明渡等に関しても強制執行まで出来るという点にあります。ただ、同手続きも相手が裁判所に来てくれないと行うことが出来ませんが、何とか連絡を取って、山下さんに裁判所に来てもらい、さらに明渡時期を3ヶ月延長する形で和解が出来ました。

しかし、上記即決和解での明渡の約束も山下さんは何の連絡もなしに守らなかったので、私たちは強制執行に踏み切ることになりました。最終的には、強制執行により、明渡を実現することが出来ました。

 

本件は、賃貸借契約の終了に基づく建物明渡の事案においてもっとも難しい「賃貸借契約の終了」自体の合意はすぐに取ることが出来ました。もし、賃借人の側がこの終了の点について合意しない場合には、解除原因の有無(家賃の滞納等)が争点となるので、長期化する可能性がありました。

ちなみに、多少の家賃の不払いがあっても、「信頼関係は破壊されていない」として解除を否定する傾向が、少なくとも裁判所にはあります。この「終了」を巡る争点を裁判で争わなくても済んだ点が最大のメリットでした。そして、即決和解手続によることが出来たことで、訴訟にかかる費用や時間と手間を省くことが出来たことも大きなメリットでした。

 

本件は、賃借人が非常に不誠実な対応に終始し、最終的には強制執行まで行わざるを得なくなりましたが、上記により、結局は受任から明渡完了まで約半年で行うことが出来、比較的早期・円滑に解決できた事例と言えます。建物明渡は、長期化する事案も多いですが、とにかく弁護士に依頼して、上記のような各法的手続を進めていくことが結果として早期解決につながるものと考えられます。