借地人からの依頼で借地権を地主に、相場よりもかなり高額で買い取ってもらうことに成功した事例
ご相談者様について
■相談者:Aさん(40代)※但し、実際の依頼者はAさんの実母Xさん
■相手方:Y(宗教法人)
ご依頼の背景
Aさんの実母であるXさんは、地主であるBさんから土地を借り(旧借地法上の普通借地。借地期間20年)、その上に建物を所有していました。
Xさんは本件借地に係る借地権を地主に買い取ってもらいたい、あるいはこれを地主と共に第三者に共同売却したい、という希望を持っていたため、Aさんが(Xさんに代わって)相談に来られました。当職はAさんを通じてXさんの上記要望を聞き、Xさんから、地主に対し、本件借地の借地権を地主に買い取ってもらう、あるいはこれを地主と共に第三者に共同売却することを求める交渉事件として、依頼を受けました。
解決までの経緯
1.上記依頼を受けて、当職は、早速、地主との間で交渉を開始しました。地主は当方からの要求に難色を示したことから、交渉は難航しました。さらに、間もなく、地主が病気になってしまい、交渉を進めることができなくなり、事件は止まってしまいました。
2.その後、地主は病気から回復しましたが、本件借地を第三者であるY(宗教法人。以下同じ)に売却してしまいました。
これにより、当方の交渉の相手方は、新しく本件借地の所有者(=地主)となったYに変わることになりました。しかし、これが当方にとってはまさに転機でした。
3.上記のとおり、これまで地主との間の交渉は難航し、さらに地主の病気によりその後交渉自体が止まってしまっていましたが、地主がYに本件借地を売却したこと(=Yが新しく地主となったこと)により、状況が大きく変わりました。
4.というのも、新しく地主となったYは大規模な宗教法人で、本件借地がたまたまYにとっての重要施設の隣地となっていたために、旧地主から本件借地を購入したからです。つまり、Yは自身の重要施設の付帯設備等を設置することを目的に本件借地を元の地主から購入したものであり、自身で本件借地を利用することを強く望んでいたため、Xさんの要望の一つである本件借地に係るXさんの借地権の買取に対し、非常に前向きだったのです。
5.上記の経緯から、従来の地主との間ではほとんど進展しなかった借地権の売却に関する交渉が、地主が新しくYになった途端、進み始めました。上記のとおり、Yは自身で利用するために本件借地を購入したものであったため、借地権の第三者への共同売却を考える必要はなく、かつ交渉が難航した場合の一つの手段である借地人(=本件では依頼者であるXさん)による借地の底地権の買取等を検討する必要もなかったことから、依頼者であるXさんも新しく地主となったYも、双方が借地権の地主による買取という同じ目的の実現に向けて交渉することができることになり、交渉が大幅に前進したのです。
6.当職は、上記のとおり、依頼者であるXさんと新しく地主となったYの最終的な目的が「(Yによる)本件借地権の買取」に絞られたことから、本件借地権の買取価格を極力高額としてもらうべく、粘り強くY(が選任した代理人弁護士)との間で交渉を続けました。
7.他方で、仮にYによる本件借地権の買取が実現せず、依頼者であるXさんが本件借地を賃借し続けることになった場合には、Xさんの実子であるAさん(相談者)が経営する会社の事業計画として、本件借地上で子供向けのコンサート等のイベントを継続して行う企画が出されていたことから、Xさんの側にも本件借地を利用する理由はないわけではありませんでした。そして、このようなことになった場合には、宗教法人であるYにとっては、騒音等により必ずしも好ましくない事業が本件借地(=Yの重要施設の隣地)で行われる可能性がありました。
8.そのため、当職は上記のような事情も一つの交渉材料としてYの代理人に伝え、依頼者であるXさんとYの双方に最も利益となる解決法をYの代理人との間で協議しました。
9.そして、この当職の粘り強い交渉と借地人であるXさんやその実子であるAさん(が経営する会社の事業計画)における本件借地の利用可能性等をも交渉材料とした当職の機転により、本件借地権を相場よりもおよそ6割増しの価格でYに買い取ってもらうことができました。
10.その結果、本件では、依頼者であるXさんの本来の要望の一つであった本件借地権の買取を実現できただけではなく、その買取価格についても、相場よりも相当高額とすることができ、Xさんの大幅な利益を実現することができました。
投稿者プロフィール
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弁護士・宅地建物取引主任者。神奈川県にて25年以上の弁護士経験を持ち、特に不動産分野に注力している。これまでの不動産関連の相談は2000件を超え、豊富な経験と知識で依頼者にとって最良の結果を残している。
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