同居する娘の暴力等に悩む両親からの依頼で娘を家から立ち退かせた事例

事例の概要

◆争点:①親族間の紛争解決調停事件
    ②使用貸借契約終了による建物退去明渡請求訴訟
◆当 事 者:両親(依頼者)(60代)、娘(30代)
◆依頼内容:元々、娘と同居していたご両親が、娘からの暴力や暴言等原因で精神的に疲弊してしまい、娘を追い出してほしいとの依頼でした。

解決までの経緯

(1)ご両親は、成人した娘と、父親が所有するマンションに三人で同居していました。

(2)娘は、就職しておらず、一人暮らしをしているだけの収入があるわけではなかったため、娘が社会人として自立することを目的にご両親が支援している、という状況でした。

(3)しかしながら、娘は10数年以上も本件建物に居住しており、両親に暴力や暴言を吐いたり、物を壊す等をしていたようです。このようなことが続き、娘の言動は、時には彼女の弟や妹、親戚にも危害が加わる可能性もあったため、警察や行政機関に相談するなどもしていたようですが、ご両親は精神的にも大変疲弊し、娘と別居することにしました。

(4)当職は、これまでの経緯から、示談交渉ではなく、まずは家庭裁判所に親族間の紛争解決の調停を申し立てることにしました。

(5)申立後、娘から当職宛てに連絡があったため、当職は毅然とした態度で現在の状況等を説明し調停期日に出頭するよう促しましたが、娘は期日には出頭せず、調停での解決は不可能と判断したため、やむを得ず建物退去明渡請求訴訟を提訴することにしました。

(6)提訴後、娘から当職宛に度々連絡がくるようになりました。法テラス経由で代理人を就けることが可能であることや、このまま何もしなければ判決言渡しとなり、ゆくゆくは判決に基づく強制執行となってしまうこと、ご両親もそこまでは望んでいないこと等を丁寧に説明し、建物退去明渡をしてもらうよう説得及び交渉をしました。

(7)娘は貯蓄等がなかったため、退去後、新生活をするにあたり、初期費用等がいくらかかるのか、収入が安定するまでに必要な生活費等を提示してもらい、極力、その希望に沿えるように、当職は両親を説得しました。

(8)その結果、娘が自ら転居先と就職先を探し、また、裁判期日にも出頭してもらい、無事、約200万円程の解決金(=和解直後に100万円、明渡完了時に100万円)の支払と引換に退去・明渡をする内容で)裁判上の和解することが出来ました。

結果

本件では、無事に娘が建物退去明渡をし、ご両親が元の家に戻ることができました。

弁護士のコメント

ご両親は娘に対し、法的手続きを執らざるをえないことに葛藤があるようでした。

しかし、当職も、娘の自立を促し、一人で生活をすることが出来るようになることがご両親や彼らの弟妹の一番の要望だと考えましたが、むしろ、子の要望をかなえるためにも、心を鬼にして、法的手続まで執ることが必要なことを説得し、結局、娘田現状で最も必要とすること(本件では引越代や当初賃、敷金・礼金等及び当面の生活費等の金銭的なこと及び現実の転居先住居のこと等)の相談にも乗ってあげ、親身にアドバイスした結果、娘からも信頼されることができ、無事解決することが出来ました。

投稿者プロフィール

弁護士 鈴木軌士
弁護士・宅地建物取引主任者。神奈川県にて25年以上の弁護士経験を持ち、特に不動産分野に注力している。これまでの不動産関連の相談は2000件を超え、豊富な経験と知識で依頼者にとって最良の結果を上げている。

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