裁判例②【東京地判平26・3・26判時2243号56頁】

買主Xは、売主Y(宅建業者)から給油所とその敷地(本件土地)を購入し8年以上給油所として賃貸するなどしていたが、Yが給油所建設に際し建築承認に付されていた条件を遵守せず、建築基準法7条1項に基づく完了検査の手続を行っておらず給油所が建築基準法・都市計画法に違反した状態になっていることなどが判明し、XはYに対し説明義務違反を理由とする損害賠償請求などをした。

  裁判所は、説明義務違反の不法行為の成否について、「宅建業者は。自ら不動産売買の当事者となる場合や売買契約の媒介を行う場合には、宅建業法35条に基づく説明義務を負い、当該説明義務を果たす前提としての調査義務も負う」。「宅建業法35条はその文言から、宅建業者が調査説明すべき事項を限定列挙したものとは解されないから、宅建業者がある事項で売買当事者にとって売買契約を締結するか否かを決定するために重要な事項であることを認識し、かつ当該事実の有無を知った場合には、信義則上、相手方当事者に対し、その事実の有無について説明・義務を負う場合がある。」とし、Yは宅建業者であるから上記調査説明義務を負うとした。

投稿者プロフィール

弁護士 鈴木軌士
弁護士・宅地建物取引主任者。神奈川県にて25年以上の弁護士経験を持ち、特に不動産分野に注力している。これまでの不動産関連の相談は2000件を超え、豊富な経験と知識で依頼者にとって最良の結果を上げている。

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