裁判例㉒【福岡地判平22・9・6判例集未登載(福岡高判平23・3・8判時2126号70頁)】

仲介業者の売主側担当者は、売主から、売買の目的物である居室が前入居者により風俗営業に使われていたとの噂があり、管理組合が前入居者に明渡等訴訟を起こしたこと自体、居室にまつわる特別な事情であり、住居目的で購入する一般人のうちには、あえてそのような物件を好んで購入しようとはしない者が少なからず存在するものと考えられ、宅建業者がすでに買主の購入の意思決定に影響を及ぼしかねない特別な事情を認識している場合には、善管注意義務に基づき、これを自己に対する委任者である買主に対して説明あるいは告知する義務がある。仲介業者の担当者がこの点について相当程度の情報を認識していたのであるから、過失によりこれを告知あるいは説明することを怠ったものとして債務不履行責任を負うとし、買主の仲介業者に対する損害賠償請求を一部認容した。

投稿者プロフィール

弁護士 鈴木軌士
弁護士・宅地建物取引主任者。神奈川県にて25年以上の弁護士経験を持ち、特に不動産分野に注力している。これまでの不動産関連の相談は2000件を超え、豊富な経験と知識で依頼者にとって最良の結果を上げている。

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