裁判例④【東京地判昭59・2・24判時1131号115頁】

仲介業者Y2は、本件店舗の所有者Aの夫Y1から賃貸仲介を依頼され、同人から建物登記簿謄本・登記済証などの提示を受けるなどして本件店舗の権利関係を確認したが、賃借人Xとの賃貸借契約締結に当たって、Y2は、自ら登記簿謄本を取り寄せるなどして本件店舗の権利関係を調査することなく物件説明書(現在の重要事項説明書)を作成しXに交付した。Xは、賃貸借契約を締結して引渡しを受けたが、契約締結の8日前に本件店舗が第三者Bに譲渡されていたため、その後、所有者であるBから明渡請求を受け、明渡しを余儀なくされ、XはYらに対し、不法行為に基づく損害賠償を求めた。

  裁判所は、宅建業法35条によれば、宅建業者は、賃貸仲介に際して、借主に対し、賃貸借契約が成立するまでの間、特に重要な権利関係等について記載した書面を交付することが義務づけられている。「不動産の権利関係が1か月の間に変動することがしばしばあり、しかも容易に登記簿で権利関係を調査することができるにもかかわらず、Y2は、Xに対する物件説明書を作成する際、1か月前にY1から受領した本件店舗の登記簿謄本を過信し、本件店舗の権利関係の再調査をせず、そのため本件店舗の真の所有者がBであることに気付かず、Y1が本件店舗の権利者であることを前提として物件説明書を作成し、これを信頼したXに本件賃貸借契約等を仲介したもの」である。Y2の本件仲介行為に過失があるとし、Xの請求を一部認容した。