共有不動産について
1.共有不動産の問題点
共有不動産を売却する場合、共有者全員の同意が必要
※注意すべき点
・その不動産が共有であるか、そうでないか
・共有者の意思が最後まで同じでいるか
→共有不動産は単独所有の不動産と比べて面倒
2.共有不動産処分の解決方法
■ 共有不動産について専門的な知識を持った弁護士に相談する。
共有不動産の処分方法について見通しを的確に判断してもらえる。
①コストパフォーマンス・・・利益は出るのか?
②法的阻害要因・・・法的にセーフなのか?
など、不動産・法律の専門知識を基に、共有物件の最適な処分方法をご提案します。
共有者が出来る事、出来ない事
1.共有者が出来る事
問題1:Aさん「この土地建物を売りたい。母親(D)も賛成している」可能か?
背景:父親(Xさん)が単独名義で所有していた土地建物を3人の子供であるAさん、Bさん、Cさんが各6分の1取得し、妻(Dさん)が2分の1を相続により取得。現在、その土地建物に住んでいるのは、AさんとDさんである。
答え:出来ない
理由:売却は変更行為にあたり、共有者全員の合意が必要。自分の持分のみの処分は可能
問題2:Aさん「この建物を誰かに貸したい。母親も賛成している」可能か?
答え:賃貸する期間によって異なる
理由:建物3年、土地5年以内の場合は、管理行為にあたるので共有者の持分の過半数で出来る。
建物5年を超える場合には、変更行為にあたり、共有者全員の合意が必要。
問題3:Aさん「雨漏りする屋根を修繕したい。母親には相談していない」可能か?
答え:できる
理由:修繕行為は保存行為。持分に関わらず共有者単独で可能。※リフォームの場合はどうか。
大規模な場合は、変更行為にあたり、限定的な場合は管理行為。
共有状態の解消方法
1.共有状態の解消方法
(1)解消を求める立場の違い
■自分の共有持分を処分したい
■他の共有者の持分を全部取得したい
(2)持分の買取を求める側からの処分方法
■共有状態を続けることのリスク
⇒税金
⇒工作物責任
問題:Cさん「自分も共有持ち分を持っているのだから、AさんとDさんだけが住んでいるのはずるい。建物を明渡すか、賃料を支払ってほしい」
答え:(明渡は出来ない。賃料については請求の余地あり。)
理由:共有状態で自分が共有不動産を使用していない共有者が請求できるのは、せいぜい賃料相当額程度(しかも持分割合に応じたものだけ)そこで、共有持分の処分を検討。
・原則として現物分割
・現物分割が出来ない場合に価格賠償
→最終的には共有物分割訴訟という手段
問題:C「自分の共有持分をAさんに買い取ってもらいたい」
■ 考慮すべき事項:共有に至った経緯
⇒既に紛争になっていたかどうか(協議により解決する可能性があるかどうか)
■ AさんにとってCさんの申出を断るリスク
⇒第三者が共有関係に入り込む可能性
時間が経過することによりますます権利関係が複雑化
共有物分割訴訟
1.共有物分割訴訟のポイント
■ 手続きについて
・当事者:共有者全員
・開催契機:協議が調わないとき
■ 共有物分割訴訟が認められないケース
・分割禁止の合意
・権利濫用等
■ 分割方法
・現物分割
⇒原則的な分割方法
・一部を現物分割、一部を共有のままとする分割(一部分割)
・全面的価格賠償
・代金分割(競売)
■ 分割方法の判断要素
・当事者の希望
・持分割合
・共有物の性状
・共有物の利用状況
・経済的価値
・当事者の資力
■ 全面的価格賠償の場合の考慮事項
・様々な事情を総合考慮
・全部取得者が取得することの相当性
・価格の適正評価
・全部取得者の支払い能力
・実質的公平
・競売→後述
■ 分割の基礎となる財産評価
・合意
・鑑定
・調停
■ 和解による解決
・賠償金の分割払い
・任意売却
・現物分割の応用
■ 競売のプロセス
■ 他の共有者の持分の取得を目指す側からのアプローチ
■ 持分を処分する場合と同様に協議、共有物分割訴訟
⇒但し、競売や現物分割を避けたいので、価格賠償の金額については譲歩
せざるを得ない場合も。
■ 共有状態にならないためのアドバイス
・相続による共有の場合⇒遺言書
・離婚時の財産分与⇒財産管理契約、特有財産からの購入
共有不動産の売却・共有物分割請求に強い弁護士の法律相談
不動産を複数人で共有している場合、個々人の使用収益・処分が法律上制限されてしまう場合があります。そのため、個々の共有者において満足な利用ができず、不便を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。この場合、共有者間において共有関係の解消を目指していくことになります。しかし、共有関係の解消は予期せぬ紛争となり得る可能性がありますので、専門家である弁護士等に相談・依頼する必要があります。
当事務所では共有不動産に関するご相談を数多くいただいており、豊富な解決事例を有しています。お持ちの共有不動産をいかによりよく処分するか、法律と実務に精通した弁護士がご提案いたします。
お悩みの方はまずは当事務所までご相談ください。
最後に
共有状態が(発生する前に)処分を進める。トラブルが生じたら弁護士に相談。
→交渉や調停段階から、専門家である当職ら「不動産に強い弁護士」に依頼することをお勧めします。
当事務所の共有不動産に関する解決事例はこちら
複数の共有の賃貸不動産の持分を時価で買い取ってもらい、未分配だった賃料も回収した事例
不動産競売によって、業者の査定よりも高額で落札されて、その結果、より有利な条件で共有持分売却ができた事例
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相手方からの賃料請求を断念させた事例
持分買取業者の共有物分割請求訴訟に対して居住者による持分買取の和解を成立させた事例
持分を担保とした融資を受けた後に、共有不動産を共同売却した事例
高齢の父親が居住する共有の分譲マンションで父親に持分を買い取ってもらった事例
高齢の依頼者がリバースモーゲージで不動産担保ローンを組んで持分を買い取った事例
共有不動産を担保にした借入金で持分を時価で買い取ってもらった事例
遺産分割協議では、持分を現金で取得することを拒絶されたが、共有物分割請求をすることで持分を現金で取得できた事例
共有者の1名が売却に反対していた更地(共有)を共同売却した事例
共有の賃貸アパート1棟の競売(落札)による共同売却に成功した事例
投稿者プロフィール
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弁護士 鈴木軌士
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弁護士・宅地建物取引主任者。神奈川県にて25年以上の弁護士経験を持ち、特に不動産分野に注力している。これまでの不動産関連の相談は2000件を超え、豊富な経験と知識で依頼者にとって最良の結果を残している。